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iPhoneの服薬リマインダーが静かに来なくなる理由

服薬アプリを使うのをやめてしまう、独特の壊れ方があります。ちゃんと動いていたのです。三日か四日は完璧に動いて、それから通知が来なくなる。エラーも警告も出ません。気づくのは一週間後、「そういえば何も通知されていない」と思ったときです。

これはほぼアプリの不具合ではありません。iOSがやっている三つのことのどれかで、どのアプリを使っていても知っておく価値があります。Apple純正の「ヘルスケア」アプリも例外ではありません。

一、通知64件の上限

iOSは、1つのアプリが同時に予約できるローカル通知を64件までと決めています。1日64件ではありません。発火を待って列に並んでいるものが、合計で64件です。

1日1回のお薬1種類なら、2か月分以上の余裕があります。ところが現実的な処方ではあっという間に尽きます。計算は容赦なく、残り日数は「64 ÷ 1日に生成する通知の数」でしかありません。

1種類・1日1回 — 64日 2種類・1日2回 — 16日 4種類・1日2回 — 8日 7種類・1日3回 — 3日 同じ7種類を1日3件にまとめた場合 — 21日 1種類・1日1回 2種類・1日2回 4種類・1日2回 7種類・1日3回 …同じ7種類、まとめた場合 64 16 8 3 21 0 16 32 48 64 枠が尽きるまでの日数
64 ÷ 1日あたりの通知数。7種類を1日3回なら1日21件、枠は3日で底をつきます。最後の行は同じ処方で、同時刻のお薬を1件の通知にまとめた場合です。答えを桁で変えられる唯一のレバーがこれです。
数値を表示
処方1日あたりの通知もつ日数
1種類・1日1回164
2種類・1日2回416
4種類・1日2回88
7種類・1日3回213
…同じ7種類を1日3件にまとめた場合321

列がいっぱいになると、iOSは残りを黙って受け付けません。アプリは動いているように見えます。スケジュールは画面にちゃんと出ています。でも3日目より先の分は、そもそもシステムに渡されたことがないのです。

アプリごとに対処が違い、その差が効きます。

  • 継ぎ足す。 よくできたアプリは、開くたび、あるいはバックグラウンドの機会を得るたびに列を補充し、残り日数を前へ動かし続けます。設定時に一度だけ予約するアプリなら、数日動いてから沈黙します。
  • まとめる。 3種類がすべて8:00なら、通知は3件ではなく1件にできます。情報は同じで、枠の消費は3分の1。これが「数日」と「数週間」の差です。
  • 遠い方から切る。 枠が尽きたときに落とすべきは予定の遠い端、つまり来月であって、明日の朝ではありません。

通知が黙る原因としてはこれが最も多く、しかも外からは見えません。しばらく来ていなかったのにアプリを開いた直後から復活する場合、起きているのはこれです。

二、集中モードとおやすみモード

集中モード(Focus)は既定で通知を消音します。いちばん多くの人がはまるのは「睡眠」の集中モードです。夜や就寝前の一回はもともと最も忘れやすく、しかも「睡眠」は自動で入るからです。

抜ける道は二つあり、違いを理解しておく価値があります。

  • 時間指定通知(Time Sensitive) は集中モードと時間指定要約を突破します。アプリ側が通知を明示的に時間指定として送る必要があり、あなたも許可する必要があります——「設定」→「通知」→ 該当アプリ →「時間指定通知」。そのうえで集中モードごとに、「設定」→「集中モード」→ 該当モード →「オプション」→「時間指定通知」。
  • 重要な通知(Critical Alerts) は着信スイッチも集中モードもまとめて上書きする、いちばん強い段階です。Appleが個別に審査して与える特別な権限が必要で、これを持つ一般向けアプリはごくわずかです。重要な通知に対応と謳うアプリがあれば、本当に権限を持っているのか確かめる価値があります。

GoodPillは服薬の通知をすべて時間指定通知として送ります。これで集中モードとおやすみモードはカバーできますが、本体側面の物理的な消音スイッチは越えられません。それを越えられるのは重要な通知だけです。

三、通知の許可が実は完全ではない

iOSが通知の許可を尋ねるのは一度きりです。そのとき画面を流してしまった、あるいは許可した後にどれかをオフにした場合、アプリ側から再度尋ねて直すことはできません。できるのは「設定」へ案内することだけです。

とくに個別に確認する価値のある項目が二つあります。どちらもオンに見えていて、なお通知が壊れているように感じられるからです。

  • 配信方法。 通知が「時間指定要約(Scheduled Summary)」に入っていると、まとめられて決まった時刻に届きます。服薬のリマインダーにとって、それは通知されないのと同じです。
  • ロック画面とバナー。 どちらもオフだと、通知は誰もいない部屋に向けて鳴ります。通知センターの中にはありますが、ほかのどこにもありません。

どれなのかを見分ける

三つは外から見ると同じですが、振る舞いが違います。

症状いちばんありそうな原因直す場所
数日は動いて、その後まったく来ない通知64件の上限「設定」ではなくアプリ側
朝は届くが、夜や就寝前は届かない集中モード——たいてい「睡眠」設定 → 集中モード
初日から一度も届いていない許可、または時間指定要約に入っている設定 → 通知
アプリを開いた直後だけ出てくる列が空で、起動時に補充している「設定」ではなくアプリ側

四行目は「このアプリは遅い」と誤解されがちです。遅いのではありません。残りが尽きていて、あなたが開いた動作が列を補充したのです。

実際に何をするか

安い順から確認していきます。

  • 設定 → 通知 → 該当アプリ。「通知を許可」オン、配信方法は「時間指定要約」ではなく即時配信、ロック画面とバナーはどちらもオン、時間指定通知オン。
  • 設定 → 集中モード → 使っているモードそれぞれ → オプション。「時間指定通知」をオンにするか、そのモードの許可アプリに追加します。
  • 処方を数える。お薬の数 × 1日の回数。15を超えるようなら、上のグラフの下の方にいます。同時刻のお薬をまとめてくれるアプリかどうかを確認してください。枠の問題は設定では直りません。
  • アプリを開く。直後に通知が復活し、数日でまた止まるなら、答えは出ています。

どれも特殊な知識ではありません。すべてのiPhoneアプリが同じ制約の中で動いています。ただ服薬は、静かに失敗したときのコストが実際にある領域です。だからこそ、数か月おきに診断し直すのではなく、一度きちんと理解しておく価値があります。

これらのノートを書いているアプリが、GoodPillです。

数日で静かにならない通知、家族一人ひとりに別のプロフィール、通院前に印刷できるレポート。

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